チャート・インジケーターの見方

過去の値動きの推移から、今後の値動きを予測する「テクニカル分析」に使われるチャートの見方などをご紹介いたします。

テクニカル分析で使われることの多い、代表的な
チャート・インジケーター

ローソク足

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ローソク足は四角の柱(実体)と上下に細く伸びるヒゲ線で成り立っています。 暗号資産 / 仮想通貨はもちろんのこと、株式や外国為替の取引でも頻繁に使われている代表的なチャートです。

ローソク足を見ると、一定の期間(日・時間・分など)のうち、いくらで取引が始まり、最大でどこまで値段が上下し、いくらで取引があったか、始値、終値、高値、安値の関係を一瞬で見ることが出来ます。 また、一定期間の値動きをローソク足で示し、時系列に並べてグラフ化したものを「ローソク足チャート」といいます。

ローソク足チャートは一定期間の相場の動きがひと目でわかるため、過去の値動きから将来の値動きを予測する「テクニカル分析」に用いられています。

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ローソク足には「陽線」「陰線」があり、ローソク足1本ごとに色分けされています。陽線は始値より終値が高かった場合に表示され、陰線は始値より終値が低かった場合に表示されます。 利用する取引所によっては色が異なる場合があるため、注意が必要です。

また、陽線の場合、実体の下が始値、実体の上が終値、ヒゲがその間の価格移動幅を示しています。 一方、陰線の場合、実体の上が始値、下が終値、ヒゲがその間の価格移動幅を示しています。 実体部分が長ければ長いほど売買の勢いが強かったことを表し、一定の上昇・下降トレンドが続いた後にヒゲが出現した場合、価格のそれ以上に上昇あるいは下降する可能性が低いことが示唆されます。

多くの場合1本のローソク足が示す期間は調整することができ、期間の長いものから順に「年足」「月足」「週足」「日足」「時間足」「分足」と呼ばれます。 長期的な投資を行うには年足や月足を参考にすることもあります。自身の投資のスタイルに応じて最適な期間を使用しましょう。

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単純移動平均線

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単純移動平均線は過去一定期間の平均価格を計算し、その推移を線で繋げたものです。 例えば「5日平均線」は過去5日間の取引価格の平均値をその日ごとに計算し、1本の線グラフを作っていきます。 取引価格自体に依拠するローソク足と異なり、平均を取る期間を指定できるので、短期・中長期など複数の単純移動平均線を表示させることも可能です。

また、短期的な平均価格と長期的な平均価格を並べて比較することで、トレンド転換(下降から上昇、またはその逆)を予測することも可能です。 さらに、ローソク足と並べてその解離度を見ることで、上昇・下降トレンドの強さを判断することができます。

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単純移動平均線は日々の価格の上下を吸収するため、相場を俯瞰して判断するために利用されています。 多少の上下変動が日々ある中でも、全体的に価格が上がっていれば上昇トレンドが、全体的に価格が下がっていれば下落トレンドが単純移動平均線に現れます。 上昇トレンドの期間は価格は平均線の上に、下降トレンドの期間は価格は平均線の下にあることが多いです。

また、価格の大きな上昇・下降があった場合、平均値から離れるため、ロウソク足は単純移動平均線からも大きく離れます。

そして、異なる期間を指定することで複数の単純移動平均線を表示させて、それらの相関関係からトレンド予測を立てることも可能です。 指標となる「シグナル」のなかでも重要なものが2つあります。1つ目は買いシグナルである「ゴールデンクロス」と売りシグナルである「デッドクロス」があります。 期間の短い単純移動平均線が期間の長い移動平均線を上に越えるとゴールデンクロス、逆に、期間の長い単純移動平均線が期間の短い単純移動平均線を上に越えるとデットクロスの状態になります。 ゴールデンクロスは短期的な平均が長期的な平均を上回る状況で、下落後に出ることが多く、価格が上がりやすくなります。 反対にデットクロスは短期的な平均が長期的な平均を上回る状況で、これまで取引されていた価格を短期間で割り込むシグナルとなり、価格が下がりやすくなります。

パラボリック

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パラボリックはトレンドを追随するタイプのテクニカル指標です。パラボリックの放物線は、上昇トレンドの間はローソク足の下に、下降トレンドの間はローソク足の上で推移します。 上昇・下降どちらのトレンドもいずれその勢いを弱め、やがて「転換点」を迎えることに注目しており、トレンドが転換するたびにポジションを保有し直す途転(ドテン)買い・途転売りに適しています。

転換点はSAR(Stop and Reverse / ストップアンドリバース)とも呼ばれており、SARを繋げたものがパラボリックの放物線となります。 一般的に、値動きが大きく、トレンドが発生している市場に向いており、値動きの小さく、トレンドの発生していない市場ではSARが頻発するためあまり向いていません。

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パラボリックに活用するためにまず途転について整理します。途転とは自身が持っているポジションを反転させること指します。 例えば、1BTCの買いポジションを決済するとき、2BTCの売りポジションを新たに保有することで常にポジションを持つなどが挙げられます。 上昇トレンドでは買い建玉を保有、下降トレンドでは売り建玉を保有しますが、パラボリックを活用した途転買い・途転売りでは、保有ポジションを切り替える際にトレンドが転換するSARでシグナルを活用し効率的な取引が可能になります。 パラボリックを活用して常に一定のポジションを保有しておくことで、買いのポジションのみを扱う取引や売りのポジションのみを扱う取引よりも、ポジションを保有していない期間を最小限に抑えることが可能となり、売買の機会を増やすことができます。

MACD (マックディー)

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MACD(マックディー)は「Moving Average Convergence Divergence」の略で、日本語では「移動平均収束拡散」と訳されます。 「単純移動平均線」とコンセプトは似ていますが、MACDの特徴は以下の2つになります。 1つ目は2つの移動平均を利用して価格のトレンド分析することです。 2つ目は単純移動平均線よりも直近の価格変動をより重視した「指数平滑移動平均線」をベースにしていることです。

この指数平滑移動平均線を短期・中長期と2本描き、短期のものから長期のものを引いたものがMACD、そのMACDの単純移動平均線がシグナルと呼ばれます。 また、棒グラフとして現れるヒストグラムはMACDとシグナルの乖離を視覚的にわかりやすく表示したものになります。

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MACDのメリットとしては、単純移動平均線よりも直近の価格変動を重視しているため、売買サインが早く現れることにあります。 売買のサインは単純移動平均線と同じく「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」となり、MACDがシグナルを上回る(ゴールデンクロス)と買い、MACDがシグナルを下回る(デッドクロス)と売りのサインとなります。 また、ヒストグラムはMACDからシグナルを引くことで産出されるため、ゴールデンクロスの場合はマイナス圏からプラス圏に、デッドクロスの場合はプラス圏からマイナス圏に転じるため、価格の推移が見やすい指標になっています。